概要
ボーンデジタルさんから発売された「24時間で学ぶ! Unity 5 基本操作と開発のコツ」

- 作者: Ben Tristem,Mike Geig,渡邉淳矢,株式会社Bスプラウト
- 出版社/メーカー: ボーンデジタル
- 発売日: 2016/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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を献本頂きました。
前職でもOpenGL 4.0 シェーディング言語 -実例で覚えるGLSLプログラミング で(一方的に)お世話になった出版社さんです。
書籍紹介ページによると
24時間で学ぶ!Unity 5 基本操作と開発のコツ|書籍|株式会社ボーンデジタル
「Unityは必要だけど難しそうなので手をつけられてない」 「業務があるから出来るだけ短時間で覚えたい」 「来週からUnityを使うって金曜日の夜に言われた! 」 本書はこのような方に最適です。
と書かれており、「来週からUnityを使うって金曜日の夜に言われた! 」 のあたりが生々しくて良いですね!
実際、プログラミングは何らかの形でやったことがあれば、ゲーム作り自体は初めて、という人にとっての最良の入門書の一つです。
- 424ページでUnityの基本機能を網羅している
- プログラミング初めての人向けではない
- Noteや章末Q&Aが実用的
という感じです。
424ページでUnityの基本機能を網羅している
Unityには非常に多くの機能があります。プログラムをする部分を除いてもUnityEditorのGUIだけで
- シーンへのオブジェクト配置
- マテリアル、テクスチャの設定
- Terrainによる地形モデリング
- カメラパラメータ、イメージエフェクトの設定
- ライトの配置、設定
- オブジェクトへの物理演算設定
- オブジェクトへの機能コンポーネントの追加
- 2Dスプライトによる2Dゲーム作成
- uGUIによるGUI作成
- Shurikenパーティクルによるエフェクト作成
- ドアが開くなどのアニメーション設定
- ステートマシンベースのアニメーション切り替え
- オーディオシステムによる3D,2Dのミキシング
- 出力プラットフォームの切り替え、ビルドオプションの変更
などが出来ます。
これらを全部をしっかり解説するだけで何ページになるか想像もつきません(僕も全部は理解しきれていません…)
この本は424ページで24章(24時間)に分けています。平均すると1章あたり20ページくらいです。 そのページ数で少なくとも上記のことについて網羅的に学ぶことができます。
それぞれの機能ごとの詳細な説明があるわけではないですが、概要、使用方法、主な設定については書かれています。
そして何章かごとにサンプルゲームを作り、覚えた各機能の復習が出来るようになっています。
この説明方法としては
Unity5 3D/2Dゲーム開発実践入門 と近い立ち位置の本だと思います。

Unity5 3D/2Dゲーム開発実践入門 作りながら覚えるスマートフォンゲーム開発
- 作者: 吉谷幹人
- 出版社/メーカー: ソシム
- 発売日: 2015/07/24
- メディア: 単行本
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僕が思うに24時間本の方が、「漏れなく網羅する」ことに重点を置いています。
なので、「Unityを勉強する」から入るなら、この本が良いかと思いますし、「ゲーム作りを体験する」ならUnity5 3D/2Dゲーム開発実践入門が良いかと思います。
プログラミング初めての人向けではない
Unityの入門にどうしても入る割に、あんまり使わない章と言えば - Unityインストールの仕方 - プログラミングの説明
だと思います(失礼)
まあ、入門を謳うなら入っていないと不安になりますしね…しょうがないですよね…
この本の場合は、40ページそこらでUnity上のC# の説明があったり、Unityインストールと各シーンビューなど説明が15ページくらいあったりします。
Unity上のC# と限定していても、40ページ(2時間分くらい)で学ぶので割と駆け足というか、プログラミング自体はやったことがある人向けになっています。
なので「プログラミングはやったことがない」という人は
Unity5の教科書 2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座を一冊目として強くお勧めします。

Unity5の教科書 2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座 (Entertainment&IDEA)
- 作者: 北村愛実
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/06/22
- メディア: 単行本
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以下エントリで触れています。 Unity本のおすすめ 2016年版 - izm_11's blog
また、気になった点として、この本は原著がある和訳本ですが、 「レベル」や「スカルプト」というゲーム系や3D系でよく出るカタカナ語に対して訳注が記載されていません。 ゲームは作ったことがある人、あるいはゲームをある程度知っている人でないと面食らうかもしれません。
Noteや章末Q&Aが実用的
章末Q&Aはとても実用的です。 僕自身が初心者のころに疑問だった点に対して、十分に正しい回答があります。例を挙げます
Q「キャンバスレンダーモードはシーンに混在できますか」
A「はい。シーンに複数のキャンバスを追加して、それぞれ異なるレンダーモードに設定することができます」
Q「Unityでヒューマノイドにキーフレームアニメーションを作成できますか」
A「できません。インターネットで調べたら方法が載っているかもしれませんが、専用の3Dソフトで作った方が良いでしょう」
Q「ビルドの設定の多くは重要そうに見えます。なぜ説明されていないのですか?」
A「本当のことを言うと、これらの設定のほとんどは皆さんにとって必要ありません。正確に言えば必要に迫られるまでは重要でないということです。(以下略)」
どうしても、入門書だけだと手落ちになりがちな、こういった点にフォローがあるという事で、この本は「誠実な作り」だと思います。良い本です。
同様にNoteやCautionには、必要十分な追記があるので、Unityはある程度分かっている人でも、ここらをパラパラ確認しておくと良いと思います。
おすすめの学習パス
Unityを初めて触るなら1章からですが、Unityを昔ちょっと触って放置してた人などは、7章のミニゲームを作るところからスタートすると、良いリハビリになりそうです。なぜなら1章から6章でインストール、ヒエラルキービュー、Terrain、カメラ、ライトなどが説明されていますが、過去にUnityを触ったことがある人なら飛ばしてもなんとかなるかもしれないからです。
この本はスクリプトを習うより前に、まずは一本、7章でミニゲームを作るという構成になっていて、とても親切です。
ある程度Unityが分かっている人、Tips,Note,Q&Aをざざーっと読むだけでも、意外な発見があるかもしれません。
総評と補足
読み終わった後も、リファレンス的に使えるので5000円の価値はあると思いました。
また、補足ですがこの本の原本は英語のビデオチュートリアルがあります。特にGUI操作が多いUnityの学習としては、こういったビデオ教材はとてもありがたいです。
Sams Teach Yourself Unity Game Development in 24 Hours
しかし、残念ながら3章分までしか無料公開されておらず、それ以降のビデオは追加で権利購入してアクセス可能です。
うう、ボーンデジタルさん…なんとか、このビデオ部分も、和訳つけてアクセス可能になったりしませんでしょうか? ドットインストールさんのUnity入門がだいぶ古いままなので、日本語ネイティブ向けのUnity初心者向けビデオラーニングコンテンツが、ほとんど無いのです…